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トッズ護衛中のエイプリルフール捏造話を上げてみる。
なんて事の無い日常、ですが洒落にならない長さです。

出来て百年くらいの国だとその地方独自の風習とかまだ無いかな、と思って無理にこじつけてたら文の長さがとんでもない事に…。


かもかてクイズ、さっそくダウンロードして始めてみたけど全然正解できない。 やっぱり本編のプレイが足りてないしね、と思ったけどこれ
納豆か。 納豆の仕業か。
腹立つわー。 去年といい今年といい納豆腹立つわー。






嘘をついても構わない日を定めた町がある。
賑わう中庭の一角に形ばかり広げた店の中で隣に座ったトッズに話をせがむと、何がいいかなあ、とすこし考えた後にそう話し始めた。 

「前に行った町の話なんだけどね。 ちょうど今頃だったかなあ。 その日一日だけはどんなに嘘を吐いても御咎めなし。 まあ流石に神官辺りはやんないかもしれないけどね」 

そんな馬鹿な、町全部で嘘をついたら大混乱になってしまうだろう。 びっくりして尋ねるとトッズはなんだか嬉しそうに表情を緩ませて、僕の頭を撫でてくる。 

「あはは、やっぱレハトは反応が素直でかわいーなあ。俺も話しがいがあるわ、うん」

乱暴に撫でられて、髪がくしゃくしゃだ。 抗議してもトッズは笑うばかりで手を止めようともしない。

「大丈夫、そんな時こそ是非当店の品を御利用下さい! 選び抜かれたこの櫛を御髪に通せばあら不思議、整える前より美しい貴方が…っと」

店の前で足を止めた人を見て、トッズは言葉を切る。 けれど貴族らしきその人は商品に禄に目もやらずにすぐに立ち去ってしまう。 今日はもうずっと、こんな調子だ。

「みーんなあっちの芸人目当てみたいね。 ま、俺はレハトとじっくり話せていいけどねー」

一際賑わうテントの方を見やり、俺の話の方が絶対面白いしね、トッズは胸を張ってみせる。

今日の市には城下でもとりわけ人気の一座が来ているらしい。 
数日前から度々話題になるのが僕の耳にも入ってきていた。 人出もいつもにも増して多いけれど、準備中の芸人達に気を取られて買い物客は逆にまばらだ。
 
「…なんだっけ。 ああそう、元々はどっかの家のお堅い親父が子供のしつけに始めたらしいんだけど。 ほら逆に正直さの美徳を知るとか、そういうの?  でも周りも参加するうちに大規模になっちゃって、そしたら段々面白い嘘吐こうだとか、去年より大きい事言おうとか、肝心の教訓の部分がどっかに行って 単なるお祭り事になりましたってさ」

まあよくある話よね、付け加えて肩を竦めるトッズに町が混乱しないのか、さっきの問いを繰り返してみる。

「うん、そりゃ本気で町ごと嘘吐いたら大事になるよね。 だからあくまでも吐くのは ”すぐに嘘とわかる嘘” って訳。 今王様が俺の家でご飯食べてる、とかね」 

レハトはきっとだまされちゃうから行かない方がいいかな、そう言ってにやにやするトッズにむくれて見せると 再び伸ばした手に頭を掻きまわされる。


このまま、何も変わらずずっとこのままでいられたらいいのに。 
最近気付けばそんな事ばかり願っている。 勿論年が明ければ成人して性別も決まって、その他いろんな事もきっと変わってしまう。 

それでも、トッズの顔を見上げて、話を聞いて、そしてこうやって大きな手で頭を撫でてもらって。 
…ずっとこうして一緒にいられたらいいのに。


不意に上がった歓声にはっとして我に返る。 見れば一段高くしつらえられた壇上の踊り子が優雅に一礼したところだった。 観客の声に応える様に楽器の音が一層賑やかさを増す。 
今日はもう諦めたのか、他の店主の中には客に混ざって手を叩いている人もいる。
 
「…どうせヒマだし、怪しい動きも無いし。 貴重な今はもっと有意義に使いたいよなあ。 せめて二人っきりで熱く語れる …あーもう、無粋で性悪な爺さえいなけりゃー…」
 
盛り上がりを見ながら一人ぶつぶつ言うトッズにふと思いついて尋ねてみる。すぐに嘘とわかる嘘って例えばどんなものだろう。 トッズだったら、どんな嘘を吐くのか、と。


「え、俺? …そうねえ…」
首を傾げて思案し始めたトッズは不意に改まった声音で僕を呼ぶ。

「…レハト。 聞いて欲しい。 …もう俺、城に来れない。 今日で最後だ」 

 
頭から一斉に血が引く、その音が聞こえた気がした。 全ての音と景色が遠のく。空になった世界でトッズだけが真面目な顔でこちらを見ている。
なんで急に、聞こうとした声がかすれ、喉の奥に詰まる。 いつもとまるで違う硬い表情を写した目が熱く、滲む。


「ええ? ちょ、ちょっと待ってレハト、泣いてる??」

と、ぼやけたトッズが突然慌てたように手を振りだした。 口調もいつも通りに戻っている。

「ちょっとちょっと、レハトってば。 たった今”すぐに嘘だとわかる嘘”って言ったでしょ。 嘘、嘘だって」

その言葉にはっとする。 次いで、急速に恥ずかしくなってきた。 
自分で聞いておいて、まさか騙されるだなんて。 頬ばかりか耳の辺りまで熱い。 たぶん、顔真っ赤だ。

上げていられず俯いた僕の頭に、今度は優しく手が載せられる。

「ごめんごめん。 一番ありえない事言ったつもりだったんだけど。 
…やっぱダメね、レハトに嘘吐くなんて。  ……でももう、俺ってば愛されちゃってるなあ。 まさかこんなに…っわ!」

声に混ざりだしたからかうような響きに悔しくなって、勢いをつけてトッズに抱きついた。 まだ滲んだままの涙ごと胸元に顔を押し付けて、腕を背中に回す。

「…えーと。 …トッズさん、すっごく嬉しいですけど。 人の目に付くと噂になっちゃうよ?」

そんな事、どうでもいい。 勝手に噂でも何でもすればいい。 両手に一層力を籠めてトッズの胸にしがみ付く。 そこから伝わってくる少し早い鼓動と、僕を包む腕の温もりだけを感じていたかった。

どこか世界の遠くで音楽と歌声、歓声が聞こえている。

「…ごめん。 大分不安にさせちゃったかな。 ね、レハト。 俺、レハトの側にちゃんといるから。  …色々まあ、制約あるけどせっかくこうやって一緒にいられるのに何処にも行ったりしないよ。ね?」


それなら約束して欲しい。 僕でも勘違いしないように、ちゃんと。
駄々っ子の様な僕の言葉に 上の方で小さく笑う声。

「約束かぁ。 …うーん、じゃあ、レハト?」

呼ばれて思わず顔を上げた僕に、素早くトッズが身を屈め唇を重ねてきた。一旦離れ、すぐまた押し付けられる。 肩を掴む手までもが、ひどく熱い気がした。
 

「…さっきの今で、言葉にすると嘘に聞こえそうでしょ? だから、約束」

唇が触れそうな近さのままで囁かれて 返事なんてできる筈が無い。 いつもより幾らか頬の赤いトッズからどうにか眼をそらし、ぎくしゃくした動きで頷いてそのまま顔を伏せる。 頭が真っ白になって、言葉が出てこない。 


「今日は芸人さんがいてくれて良かったなぁ。 おかげでだーれも見てない…。っ!!」

不意に肩に乗ったままのトッズの手に力が入り、勢い良く体を引き離される。 見ると先程まで赤かったはずの顔がすっかり土気色に変わっていた。

「いや、これはですね、あー。 運命? 不可抗力? …。 …今日ばかりは殺されるかなー俺…。 でも!見ててねレハト! こんな陰険な妨害に屈するトッズさんじゃないから!」

額に脂汗を浮かべながら力強く宣言するトッズに良くわからないまま頑張ってと相槌を打つ。 
まかせて、頷くと何故かトッズは僕から離れた場所に席を移し、当たり障りの無い話を始める。
  
 
…一つだけ、わかってしまったことがある。 
トッズの世間話を聞きながら胸に湧き上がってきた思いを再確認する。 

変わらずにこのままでいたい訳じゃない。 むしろ子供の今は見えない道をトッズと歩んで行きたい。 成人して隣に並び立てるように、性別を選ぶならこの人と添える女に。 他の全てが変わっても一つ一つを一緒に乗り越えていく。
約束が守られるなら、そういう形でがいい。
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